「サイエンス教育を変える「理論物理学」の方法」
京都大学の大関真之 助教の研究グループが開発した、ボルツマン機械学習の手法を取り入れたカンニング自動検出システム は、試験制度を改善する可能性を持つものとして、話題になりました。しかしその基本となる技術は、専門分野において必ずしも最先端と言えるものではないと言います。
科学の知見は一般には理解が難しいものとされます。しかしそれが「カンニングを発見する方法」だったらどうでしょう。理解できるかも、と感じたのではないでしょうか。
例えば、カンニング検出システムでも使用された「スパースモデリング」は、少ないデータからも意味を取り出せる技術です。これを利用したMRIは画像取得に必要な時間が1/8になるそうです。「情報量が少ないからと諦める必要はない」と大関 助教は言います。
全く異なる現象ですら、同じ言葉で語ることができるかもしれない。そう信じて、目の前に起こる現象を解きほぐして、複雑な事象を支えるシンプルな原理を発見するのが「理論物理学」のアプローチです。
この理論物理学の考え方で世界を眺めてみると、社会の問題を解決する道具は意外なところにあるかもしれません。何でもできると憧れた子供の頃のように、科学の知見を大胆に「翻訳」することで、何かができる大人になれる。科学教育、そして社会を変える思考のヒントをご紹介します。
第10回のSCHOLAR.professorは、話題の若手物理学者の大関真之 京都大学 助教をお迎えし、科学の知見を社会の問題を解決する道具として活用するためには、どのような「翻訳」をほどこせばよいのか。科学教育、そして社会を変える思考のヒントをお話しいただきます。
さらに、新規事業開発へのヒントとして、自分の技術を応用するテーマの見つけ方や、社会の問題を解決するもっと単純な方法の見つけ方、周囲を巻き込んだすごいチームの作り方などを、共有・議論します。
ぜひご参加ください!
第10回 10月27日 (火)19:00〜21:30 (開場18:30)
京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻 システム構成論講座適応システム論分野助教
大関 真之 (オオゼキ マサユキ)
東京工業大学大学院理工学研究科物性物理学専攻博士課程早期修了(博士(理学))。東京工業大学大学院理工学研究科物性物理学専攻産学官連携研究員を経て、2010年より現職。
不純物の混じった磁性体であるスピングラスの理論的アプローチ法を確立したのち、統計力学を柱に、量子アニーリング、機械学習の両者に跨る研究活動を展開。科学研究費補助金基盤研究(B)「量子アニーリングが拓く計算技術と機械学習の新時代」の研究代表者。新学術領域「スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成」に連携研究者として、JST CREST「ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化」にも研究協力者として参画しながら、高次元データにおける機械学習及び圧縮センシングなどスパース性を利用した新規技術開発・性能評価に従事している。
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