温かいIoTソリューションで、繋がる幸せを描き出す | Connected Design株式会社・武田浩治さんインタビュー

2022/03/23
温かいIoTソリューションで、繋がる幸せを描き出す | Connected Design株式会社・武田浩治さんインタビュー

インフォシティグループは、東京都が行う「5G技術活用型開発等促進事業」の“開発プロモーター”として、 スタートアップ企業6社の事業創出を支援します。 この記事では、それぞれがどんな事業に取り組んでいるのか、どんな未来を創造していくのかを発信していきます。
第3回は、スタートアップ企業の1社であるConnected Design株式会社・武田浩治さんを取材。 会社の事業内容や5G事業への期待、実現したい未来などについてお話を伺いました。

武田 浩治(Koji Takeda)


1991年東京急行電鉄株式会社(現:東急株式会社)に入社。 その後、代官山でのライヴハウス経営、デジタル×建築のベンチャー企業設立等に携わった後、2008年にイッツ・コミュニケーションズ株式会社に入社。 同社執行役員経営統括室長を経て、2017年6月、Connected Design株式会社 代表取締役社長に就任。 東急グループにおけるIoT事業をけん引し、ライフスタイル・イノベーションの提案を軸とした暮らしのDX(デジタルトランスフォーメーション)事業の 拡大に取り組んでいる。

IoTで生活者の新しい“発見”を作り出す

――「Connected Design」というのは、どういったことをされている会社なのですか?

まず、生活者であるお客様の状況や趣味嗜好を知り、IoTをはじめとするデジタルを使って、先回りして便利なサービスを実現するためのソリューションを 提供しています。 例えば、いつもテラスで音楽を聴いているとか山登りが好きだとか、いろいろな状況や趣味嗜好がありますよね。 その中で様々なデータとデジタルと掛け合わせることによって、本当にその人に合ったサービスが提供できる。 それによってお客様がこれまでになく楽しいと思えたり、知らないうちに安心・安全でいられるような、新しい“発見”を作り出す。 そんな生活者に根差したIoTのソリューションを企画し、提供する会社です。

IoTやデジタルというと少し機械的で冷たいという印象を持たれるかもしれませんが、その人のことをよく知ることで、 より深い感情の部分や時には悩みなどにまでアプローチできるような、温かい世界が作れるんじゃないかと思っています。 家から職場、商業施設やレストラン、スポーツ施設に行くというような生活周り全体のデータをうまくまとめて掛け合わせることによって、 新しい生活価値を生み出すことが可能です。我々は、お客様が生活の中で一番大事にしているところに、IoTというツールを利用して深く関与していきたい。 このアプローチがIoTを広げていくために最も重要なことだと考えています。

安心へと繋がる「それぞれの暮らしの見守り」というサービス

――さまざまなサービスを提供されていますが、特にどの分野に力を入れていますか?

IoTサービスの価値を理解しやすい「見守り」というサービスは、特に広げていかなければならないと思っています。 高齢化社会において、高齢者の方がいつご自身の状況に不安を感じるか分からない中で、その情報を感知できるデバイスやソフトウェアを、 それを必要としている方々が積極的に利用したくなるサービスとして普及させることが重要ですね。

――「見守り」というのは、具体的にどういったサービスがあるのでしょうか?

家の中にセンサーやスマートロックを設置し、それらとソフトウェアを連携させることで、対象者が今どこにいるのか、何時間動かなかったのか、 ドアが何回開いたのかなどを検知することができます。これは見守る側の方が設定することによって、 「今日は3時間動いていなくて心配だから電話してみよう」とか、逆に「いつもの場所にいてくれるから安心だな」というような形でご利用いただけます。

その他にも連携できるものを増やしていきたいと思っています。 例えば、必ずこのテレビ番組を見るという方の視聴履歴を取れるようにすると、カメラに抵抗がある方でも比較的ライトなセキュリティーとして、 その人の趣味嗜好にあった「見守り」になります。見守る側としては「いつも見ているテレビを今日は見ていないけど、どうしたのかな? 連絡してみよう」 という感じで。その人の興味や関心に、後から「見守り」がついてくるというイメージです。

あとは、共働きでお子様の帰りが心配という方に、お子様の帰宅を知らせるソリューションも提供しています。 スマートロックで鍵が開いたら電気をつけて、カメラが動画を撮って、その情報を親御さんに送る。
我々は東急グループなので交通系ICカードの履歴と掛け合わせ、お子様が最寄りの駅を通過したという情報を親御さんに届けるサービスも可能です。 これによって、デジタルではあるけれども、家族の「ただいま」「おかえり」という「温かいコミュニケーション」が実現する。
こうした温かさを生むIoTをもっと広げていきたいと思います。

――実際にご利用になったお客様から、どういった声が届いていますか?

高齢者の方の見守りについては、見守る側の方が病気になってしまった時に「センサー等によって簡易的に状況が分かるので、 安心して病院に行けるようになった」という声を実際にお聞きしました。 そういった「安心」という声はたくさん届いていますね。 お子様の帰宅を知らせるサービスも、とてもご好評いただいています。

お客様を一番に考えたサービスを提供するための課題

――IoTを広めていく上で、今の技術的な課題は何ですか?

お客様にご利用いただくまでにあらゆるセッティングをしなければならないので、その最初のハードルが少し高いかなと感じています。 箱を開けてすぐに使えるようにできればいいんですが……。家の中だと機器がどんどん増えていってしまうというのも課題の一つです。
あとは通信の接続状況やソフトウェアやハードウェアに問題が生じたりした場合の原因の切り分けのような技術的なハードルもまだまだあります。 お客様のITスキルにかかわらず、普通に使っていけるための通信環境の提供やセッティングの簡易さなどを突き詰めていかないと、なかなか広がっていかないと思うので、 そこはまだまだこれから解決していかなければならない課題ですね。

――どんなお客様でも使えるように、ということが大事なのですね。

そうですね。私は東急グループにおりますが、「すべてのお客様が心地よくサービスを受けられるように」という理念が受け継がれています。
私が以前、イッツ・コミュニケーションズという会社でインターネット事業に携わっていた時に、東急の代表からこう言われました。 「東急(イッツコム)のインターネットを使ってもらう人だけで東急沿線が成り立つわけじゃない。他のインターネットを利用されている方も東急の お客様であることを忘れてはいけない。その方たちすべてが幸せに繋がっていく。それが街づくりというものだから、それを考えながら進んでいこう」と。
これって5Gを通じたソリューションもIoTの世界でも同じことが言えると思うんです。 一社でやろうとしても限界がありますし、デバイスも「このメーカーでないと動きません」というようなことがあると、どうしても広がっていかない。
どんなメーカーであってもお客様が一番喜んでいただけるものであれば、それが何種類に増えたとしても、 それを繋げて提供していくのが大事な考え方だと思っています。

東京都が行う5G事業における役割と期待

――今回、この東京都5G事業においては、どのような役割を担われているのですか?

5Gという通信インフラを利用した時に、様々なソリューションが提供できると思います。 その中で、我々はIoTのデバイスや、そのデバイスを活用するためのソフトウェアが開発可能ですので、お客様に「より便利に」、「より楽しく」 利用してもらうための仕掛けを考え、それを実現するソフトウェアを提供していく役割を担っています。

――プロモーター事業に対しては、どういったことを期待されていますか?

やはり登場人物が多岐に渡りますし、皆さんそれぞれの世界で大活躍されている方なので、考え方の化学反応をすごく期待しています。 もちろん最先端のテクノロジーにトライできるという部分にも大きな期待はありますが、技術は進化も陳腐化もしていきますので、 その技術だけに頼るのではなく、皆さんとのアイデアから生まれる「気づき」を得たいですね。その「気づき」を議論して新たな「発見」に育てる。 それを繰り返していけば、そこで得た「発見」をより確かな「人が求める温かいもの」にしていけるんじゃないかな、と思っています。

“温かいテクノロジー”で実現したい未来

――「Connected Design」で、どんな未来を実現していきたいですか?

時間に限りがある人生の中で、人が「それぞれの幸せを存分に味わえる」。そんな世界を“温かいテクノロジー”で実現したいと考えています。 例えば家族の話でいいますと、お子さんが赤ちゃんでいる時から親元を離れて自立するまでの時間は、小学生や生意気盛りなどそれぞれの時期を 考えると本当に短いものです。限られた時間を有効に過ごしていただきたいし、その瞬間の喜びや感動を存分に味わってほしいと思うんです。
あるデータによると、休日に4人家族が生活必需品を買いに行くのに、準備をして、目的地まで移動して、買ったものを収納して、というところまで 合わせると3時間ほどかかるそうです。その時間が、単純にネットスーパーで配達ということだけではなく、それぞれの人が無意識も含めて求めていた 「驚き」や「感動」を先回りして届ける。それが例えば家族と一緒に好きなことができる時間に当てはめることができたら、みんなの幸せの量が 増えていくんじゃないかなと、そんな風に思っています。

――いろいろなお話を伺いましたが、人との繋がりや温かさ、そういったものを大事にされているんですね。

「Connected Design」という会社名には、“繋がることで新たな世界や人生の価値をデザイン(創造)する”という意味が込められています。 IoTでいろいろなモノが繋がる以外にも、人と人の心が繋がり、未来と今が繋がっていく――。 Connected Design社の経営理念は『繋がる幸せを描き出す』ですが、日々幸せを感じることができる世界をデザインしていきたいですね。
また、2022年4月中旬にはさらに「離れておひとりで暮らすご家族を緩やかにあったかく見守る」ことに特化したサービスのリリースを予定していますので、 こちらもぜひご利用下さい!


――素晴らしい理念からサービスが生まれているんですね! 本日は貴重なお話をありがとうございました。

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