『InterBEE 2025』レポート:
DPSJの注目展示を紹介

2025/12/10
『InterBEE 2025』レポート:DPSJの注目展示を紹介

2025年11月19日(水)から21日(金)の3日間、幕張メッセにて国際放送機器展「InterBEE 2025」が開催されました。国内外の通信・映像・音響・メディアビジネスに関わるプロフェッショナルが一堂に会するこの展示会は、今年も業界の最新動向を映し出す鏡となりました。

主催者発表によると、今年の登録来場者総数は34,072名出展者数は821社・団体に上り、映像・メディア業界の熱量の高さがうかがえました。

会場では、放送システムのIP化、ポストプロダクションのクラウド化、そしてコンテンツ制作におけるAI活用といった主要トレンドが色濃く反映されており、来場者は最新技術を肌で感じることができたようです。本稿では、その中からDPSJブースの注目展示をピックアップしてご紹介します。

DPSJブース:配信・制作効率化を実現する先進ソリューション

DPSJブースでは、映像制作から配信、収録までをカバーする先進的な製品群が展示されました。特に「IPベースのワークフロー構築」や「映像配信の効率化」を支援するソリューションに重点が置かれ、多くの来場者が足を止めていました。

OBSBOT Tail2 - 高精度なAI追跡が実現する一人撮影

出展製品の中でも特に注目を集めたのが、AI自動追跡カメラ「OBSBOT Tail2」です。4K/60fpsの高画質撮影に対応し、AIによる高度なオートトラッキング機能を搭載しています。

最大の特徴は、特定の人物を識別して追尾する「Only me」機能です。ターゲットとなる人物の動きに合わせ、カメラが自動的かつ滑らかにパン(水平移動)、チルト(垂直移動)、ズームを行います。これにより、撮影者がいない「ワンオペレーション」の現場でも、プロが操作しているようなカメラワークを実現できます。映像クオリティを担保しつつ、省人化にも貢献できる点が高く評価されています。

Magewell - IP変換と高品質キャプチャの進化

DPSJブースの隣接エリアでは、同社が取り扱うMagewellブランドの展示が行われました。ここでは、Magewellの代名詞とも言える高性能ビデオキャプチャデバイスや、IPエンコーダー/デコーダーの最新ラインナップが紹介されました。

Magewell製品は、その高い信頼性と柔軟な互換性から、放送局の現場から企業のライブ配信、遠隔授業、医療現場まで幅広く採用されています。

ブースでは、SDI/HDMI信号をNDIやSRTといった「IPストリーム」へ変換するゲートウェイ製品や、マルチチャンネル対応のキャプチャカードの実機デモを実施。リモートプロダクションが一般化する現代において不可欠な、低遅延かつ高品質な伝送技術をアピールし、プロフェッショナルの厳しい要求に応える技術力を示しました。

Salrayworks - IPカメラソリューションの未来像

同じく隣接するSalrayworksブースでは、電動雲台「N BOT」を用いたIPベースのPTZ(パン・チルト・ズーム)カメラシステムが展示されました。同社は、高品質な映像技術とネットワーク技術の融合を強みとしており、特にNDI対応製品に注力しています。

技術参考展示:N QiD (エヌクイッド) - IP制御の新提案

Salrayworksブース内でひと際注目を集めたのが、技術参考展示として紹介された「N QiD(エヌクイッド)」です。これは、わずか3名のオペレーターで最大16台もの電動雲台(N BOT)を制御可能にする、強力なNDIソリューションです。ボタンひとつで制御対象を瞬時に切り替え、複数のカメラアングルをスムーズに行き来できるため、スピード感が求められる制作現場に最適です。

複雑になりがちなIPカメラシステムの運用をシンプルにし、少人数でも迅速かつ確実なカメラワークを可能にするN QiD。今後の映像制作ワークフローを大きく変える可能性を秘めた、意欲的な展示となりました。

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