ローカル5G普及研究会「第5回合同検証会」レポート
次世代通信実証都市のビジョン
3月17日(火)、日本橋のNICTイノベーションセンターにて「ローカル5G普及研究会 第5回合同検証会」が開催されました。
この検証会は、東京大学の中尾彰宏 教授が委員長を務める、ローカル5Gの普及と技術検証を目的とする「ローカル5G普及研究会」が主催するものです。今回は、協賛である国立研究開発法人 情報通信研究機構( NICT )の会場が特別に使用されました。研究会での活動の中核として合同検証会を実施しており、会場ではローカル5G環境を構築した上で、さまざまな機器やソリューションの動作検証やデモンストレーションが行われました。
異なるベンダー間の接続性や、実際のユースケース(映像伝送、工場制御、AI活用など)における有効性を、同じ周波数帯・会場エリア内で相互に干渉対策を講じながら検証する、極めて実践的な場となりました。

【全12グループ】参加企業と検証内容
今回の検証会には、ローカル5Gの未来を担う12のグループが参加しました。それぞれで紹介された検証内容をご紹介します。


東京大学 / NECネッツエスアイ / FLARESYSTEMS / NHKテクノロジーズ / アストロデザイン
① 放送用システムカメラ機能を統合したプロフェッショナル映像伝送
② AI on RANシミュレーション
③ 東芝様との連携
④ [基地局同期信号]
公衆網基地局からのSIB9信号を使った同期
[RedCap]
軽量・ 低消胃電力5G(RedCap)の紹介
[地域BWAの5G化]
柔軟なエリア拡張を実現するBWA DAS
[次世代コンパクト基地局]
次世代基地局


東芝
① ローカル5G環境にてスマートファクトリーの実現性を検証
② ローカル5G映像伝送が放送品質に迫れるかを検証
③④事前検証した状況をパネルにて紹介
(※①②は東京大学G、マグナ・ワイヤレスとそれぞれ連携して共同検証)
AGC
会場エリア内で同じ周波数帯で検証される2社の展示の干渉対策として、プースの間に反射板を静態展示。
今回は4連結したフェンスを設置することで、反射板の大面積化を実現。

インフォシティグループ
大学から始めるイノベーションの取組みの一つとして、東京大学本郷キャンパスにおけるフィジカルAI(ロポティクス)を中心とした実証内容を紹介。 (Tokyo NEXT 5G Boosters Projectにおける取り組み)


東陽テクニカ / メリテック
実際のローカルSG端末を使用し、実端末と基地局間の通信ログを取得。また、実端末からスループットテストを実行。これらの通信ログとスループットテスト結果から、無線品質やスループット低下などの問題事象の「見える化」を実現。
NTT東日本 ①
Starlinkを窓際に設置し、衛星回線をローカル5Gのバックホールとしてインターネットに接続。会場に設置したカメラ映像をローカル5Gと衛星回線を介して伝送し、遅延等の映像の乱れなく映像視聴可能なことを示す。


NTT東日本 ②
会場内のローカル5G無線品質を測定端末で測定。測定した結果を可視化し、測定点での無線環境を把握可能とする。また測定結果から会場内の測定していないエリアも含めた無線品質を予測し、会場内全体の無線品質をヒートマップで表示する。
NEC / JVC Kenwood
複数台のスマホカメラで撮影した映像を、マルチアングル映像にして会場内に配信。会場内の安定した無線環境化で、スマホの位置を自由に変えながら、複数アングルを配信。マルチアングル映像の視聴は、来場者スマホ・タブレットを活用。


マグナ・ワイヤレス / 東芝
マグナ・ワイヤレス開発の低遅延・ジッタレス通信を実現したAU-700シリーズを活用し、工場で無線通信による時刻同期が実現できた際のアプリケーション例を紹介。
iD
0-RAN対応のn79基地局と全キャリア・全バンドのエアモニタと解析が可能なモニタリング機器のデモ。


アイダックス
28GHzアレイアンテナを用いて、ISAC(Integrated Sencing and Communication)の基本的なデモ の紹介。(ミリ波の研究開発に向けた紹介)
日本アンテナ
各検証案件に接続検証用にローカルSGアンテナを提供。
インフォシティグループの「次世代通信実証都市」構想
この中でインフォシティグループが紹介したのは、東京都が実施する「次世代通信技術活用型スタートアップ支援事業(Tokyo NEXT 5G Boosters Project)」において開発プロモーターとして推進している「次世代通信実証都市」の構想です。
これは単なる5G通信の活用実験ではなく、通信・AI・エネルギーを三位一体で最適化し、都市の課題を解決する「次世代の都市インフラ」を構築する試みです。

1. 街の土台となる「NEXT 5G System」
次世代の都市には、無数のロボットや自動運転車をリアルタイムで動かすための「神経網」が必要です。
そこで構想では、従来の基地局を高度化し、RAN(無線アクセスネットワーク)とMEC(エッジコンピューティング)を統合した「NEXT 5G System」を構築します。 これにより、街中の通信設備の投資を効率化しつつ、ネットワークの末端でAI処理を行うことで、AIサービスの低遅延化を実現する土台を作ります。
2. エネルギーの壁を越える「ワット・ビット連携」
街中がAIやロボットだらけになると、膨大な「計算処理(ビット)」と「電力(ワット)」が必要になるという大きな壁にぶつかります。これを解決するのが、「ワット・ビット連携」です。
再生可能エネルギーの発電量や余剰電力をデジタルツインでリアルタイムに可視化。その「電力(ワット)」の状況に合わせて、AIの「計算処理(ビット)」を行う場所・時間・分散性を最適に割り当てます。
電力が余っている時間や場所のコンピューターに仕事を回すことで、環境負荷を抑えながら高度な都市機能を維持することができます。
3. 大学から街へ:東大本郷キャンパスでの実証実験
この構想は、東京大学 本郷キャンパス(NAKAO LAB)を「都市のミニチュア」として活用し、すでに具体的な形になりつつあります。
現在、実証の先陣を切っているのが、株式会社MUSEのストアロボット「Armo(アルモ)」です。実際にキャンパス内のローカル5Gネットワークに接続し、ロボットの動作確認がスタートしています。
この取り組みの最終的なゴールは、「大学キャンパスにおける実証を周辺地域に拡大、さらに社会実装を推進へ」とされています。第一歩を踏み出したMUSEのロボット実証を皮切りに、次世代都市モデルがキャンパスから実際の街へと広がっていくでしょう。
