「Japan IT Week 春 2026」レポート
AI実装とリスク管理が牽引する次世代ITインフラ

2026/04/15
「Japan IT Week 春 2026 レポート」 AI実装とリスク管理が牽引する次世代ITインフラ

2026年4月8日から10日の3日間にわたり、東京ビッグサイトにて日本最大級のIT・DX・AI総合展「Japan IT Week 春 2026」が開催されました。

本展示会は、約1,100社が出展し、来場者数は約60,000名を超える大規模なIT専門展です。情報システム部門や開発者だけでなく、経営層からの参加も増加傾向にあり、ITが全社的な経営課題として認識されている状況が窺えます。

今年の展示会全体を貫くマクロトレンドとして、「リスク起点」と「AI実装」の二極化が顕著に見られました。
セキュリティ領域においては、大企業から中小企業まで無差別に標的となるランサムウェア被害の現実的なシミュレーションなど、実害を想定した防衛策の提示が主流となっています。一方、AI領域においては、概念実証(PoC)のフェーズを越え、「Claude code」をはじめとするAIコーディング支援ツールや自動化プラットフォームなど、現場業務に即座に導入・活用できる実用的なAIツールの展示に多くの関心が寄せられていました。

多くの聴講者で賑わうオープンセミナー「Claude Code実践講座」
海外からの出店社も注目を集める

6つの専門カテゴリにおける展示動向

会場内では複数の専門展が同時開催されており、それぞれの領域で高度化するIT課題へのアプローチが示されていました。主要な6つのカテゴリにおける技術・サービスの展示傾向は以下の通りです。

「ソフトウェア受託開発・開発支援 展」
新規事業の立ち上げをシステム面から支援する「伴走型開発」のサービスが多数展示。要件定義が定まりきらない段階からアジャイルで開発を進める手法や、ローコード・ノーコードツールを活用した高速なプロトタイピング、さらには生成AIを組み込んだ業務システムの受託開発など、開発スピードと柔軟性を重視したソリューションが中心となっています。

● ローコード/ノーコード開発
● 受託開発・オフショア/ニアショア開発
● テスト・検証・品質保証
● ソフトウェア/モバイルアプリ開発

「組込み・エッジ・IoT開発 EXPO展」
工場や物流、インフラ設備におけるリアルタイムデータ処理を担うエッジAIコンピューティング技術が主力を占めました。オープンソースソフトウェアを活用した特定のベンダーに依存しないシステム構築手法や、センサーから取得した膨大なデータをエッジ側で一次処理し、クラウドへの通信負荷を軽減するIoTゲートウェイ機器などが提示されていました。

● IoTプラットフォーム
● 産業用PC/ゲートウェイルーター/ボード・コンピュータ
● 通信モジュールセンサ・センサネットワーク
● エッジデバイス・エッジAI
● その他IoT・エッジコンピューティング関連

「情報セキュリティ EXPO」
境界防御モデルから「ゼロトラスト」を前提としたアーキテクチャへの移行を支援する技術が多数展示。エンドポイントでの脅威検知・対応ソリューション、高度な認証基盤によるアクセス管理、そして前述のランサムウェア対策として、感染時の迅速なデータ復旧までを包括的にサポートするセキュリティ管理プラットフォームが関心を集めました。

● サイバー攻撃 対策
● ゼロトラストセキュリティ
● 情報漏洩/内部不正アクセス対策
● IT資産管理・SaaS管理
● ネットワーク運用管理ITインフラ構築・管理

「データセンター EXPO」
AI・LLM(大規模言語モデル)の普及に伴うGPUサーバーの高発熱化・高密度化に対応するため、物理インフラの冷却効率向上と構築の迅速化が最大のテーマ。液浸冷却や水冷ソリューション、さらには省スペースかつ工期を大幅に短縮可能なコンテナ型・モジュール型のデータセンターソリューションが展示の目玉となっていました。

● 冷却装置・電源・空調システム
● 通信設備・配電盤・雷対策・免震機器
● サーバー・ストレージ
● ラック・ルーター・スイッチ
● データセンターサービス

「IT人材不足対策 EXPO」
慢性的なITエンジニア不足を補うアプローチとして、AIを活用した業務効率化に関するサービスが展開。AI開発支援や社内へのAI定着を促すコンサルティング、既存社員のITスキルを可視化・育成する教育プラットフォーム、そして専門的なIT業務の一部を外部委託とAIエージェントの組み合わせで自動化するサービスなどが提示されています。

● IT人材派遣会社
● IT人材採用・支援
● IT人材育成・教育サービス
● プログラミング プラットフォーム
● フリーランス マッチング

「情シス応援 EXPO」
ハイブリッドワーク環境における情報システム部門の運用負荷を軽減するための実務的なツール群が展示。クラウドWi-FiやVPNソリューション、社内に点在するIT資産の一元管理システム、従業員からの問い合わせ対応を自動化するAIヘルプデスクなど、情シス部門の日常的なオペレーションを効率化するサービスが中心です。

● 社内ヘルプデスク支援/管理
● キッティング効率化
● 情報システム構築支援
● ひとり情シス支援
● IT資産管理

WOODMANブース:遊休資産を活用する「MICHIBIKI DCパネルタイプ」

データセンター EXPOにおいて特筆すべき展示の一つが、AI/HPC向けインフラ構築を手がけるWOODMAN株式会社のブースで初公開された「MICHIBIKI DCパネルタイプ」の実機展示です。

本ソリューションは、WOODMAN社とみちびき株式会社の協業ソリューションであるモジュール型データセンターです。1m×3mサイズのパネルモジュールを採用しており、日本の厳格な建築基準のもとでも「建築確認」が不要な設備として扱われる点が技術的な特徴です。
これにより、物流センターや工場などの既存建物内にある遊休スペースを、短期間でデータ拠点へと転換することが可能となります。また、免震構造への対応による高いBCP性能を確保しており、高まるAI計算基盤の需要に対し、低リスクかつスピーディなインフラ構築の選択肢を提供しています。同ブースでは併せて、高密度実装と冷却効率を両立するネイティブ液浸設計の「4U液浸冷却ソリューション」の実機も展示されていました。

みちびき社による「MICHIBIKI DCパネルタイプ」の解説
水配管や免震構造まで備えた実機の展示

「MICHIBIKI DCパネルタイプ」の設計思想を提供するみちびき社は、インフォシティグループが東京都の次世代通信技術活用型スタートアップ支援事業(Tokyo NEXT 5G Boosters Project)」の開発プロモーターとして支援を行うスタートアップ企業の一つです。

本事業では、5GやAIといった次世代通信技術を駆使し、サービス技術の確立、さらには都市用DXプラットフォームの開発を目指すものです。みちびき社が展開するモジュール型データセンターに伴う知見も、こうしたイノベーション・エコシステムの中で、通信・データ処理基盤の迅速な社会実装に向けた重要な役割を担うものとして位置づけられています。

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