AI in Action 第1回 座談会
「経営者に聞く、AIのリアル」レポート

2026/09/10
AI in Action 第1回 座談会 「経営者に聞く、AIのリアル」レポート

2026年8月28日、Devcafeおよびオンラインのハイブリッド形式にて、FutureLab.「AI in Action ―経営者のリアルから学ぶ、実践型AI活用シリーズ ― 第1回|座談会 経営者に聞く、AIのリアル」が開催されました。
本イベントは、中小企業やスタートアップの経営者を対象に、AI活用の事例や考え方を共有する実践的な座談会です。

コーディネーターを務める株式会社ビットメディア 高野の進行のもと、経営の最前線でAIと協働するトップランナーたちから、次世代のビジネスモデルが次々と提示されました。

遠藤結万氏:AIの「推論」と人間の「判断」を切り分ける

最初のセッションでは、CMO株式会社のCEOである遠藤結万 氏が登壇しました。
遠藤氏は、ChatGPTなどの進化により、AIの「推論コスト(複雑な情報を論理的に処理するコスト)」が劇的に下がったことに大きな意味があると指摘します。一方で、AIは複雑な推論はできても、最終的な「判断」を下すことは意外とできないため、この部分は人間にしかできない課題があると語りました。
つまり、膨大なデータ処理や推論はAIに任せ、人間はクリエイティビティや最終的な意思決定にリソースを集中させるべきだということです。

平野友康氏:AIに合わせて会社と組織を作り直す時代

続いて登壇したテレポート株式会社 代表取締役の平野友康 氏は、ご自身の会社で40体ほどのAIエージェントを率いて仕事をしているという驚きの事実を明かしました。
AIエージェントはものすごいスピードで自律的に業務を進めるため、人間の認知能力がすぐに限界を迎え、「AIのスピードにいかに人間の脳が追いつくか」という戦いが発生しているといいます。
そして、これからの時代は「AIを既存業務に導入するのではなく、AIエージェントのために会社や組織を作り直す必要がある」と、力強いメッセージを投げかけました。

また、進行の高野からの「AIで映画を作れるサービスを作れないか」という無茶振りに対し、平野氏がAIエージェントと協力して一晩で動画生成サービスを作り上げたエピソードも披露され、会場を大いに沸かせました。
(その直後、平野氏は部下のエンジニアに「何を遊んでいるんだ」と呆れられたとか…)

座談会:人間とAIのコミュニケーションの行方

後半の座談会では、シークレットゲストとして東京科学大学教授の柳瀬博一 氏が加わりました。柳瀬氏は、人間がコミュニケーションにおいて「阿吽の呼吸」や独自の「意味空間」を構築して言葉の裏にある行間を読んでいるのに対し、AIはテキスト化された情報しか学習できないという、現時点でのAIの限界を指摘しました。

これに対し平野氏は、自社のAIエージェントを活用してミーティングの会話やコンテキスト(文脈)を構造化・データベース化する最先端の取り組みを紹介し、将来的にAIが人間の「行間」を理解し、より高度な協働が可能になる展望について議論が交わされました。

インフォシティグループ支援のスタートアップ2社が登壇

イベントの終盤では、東京都が推進する次世代通信技術活用型スタートアップ支援事業(Tokyo NEXT 5G Boosters Project)において、インフォシティグループが開発プロモーターとして支援するスタートアップ2社が登壇しました。

まず、「ヘルス・レコード・AIエージェント株式会社」代表取締役の鈴木大志 氏が登壇しました。
同社はヘルスケア業界に特化したAI基盤を構築しており、医療現場における「処方箋」の仕組みをヘルスケア機器に組み込む取り組みを行っています。ユーザーの基礎データと層別化されたデータを組み合わせることで、一人ひとりに最適化(パーソナライズ)されたヘルスケア機器の使用案内をAIが自動生成する、次世代のウェルネスサービスを紹介しました。

続いて、ワット・ビット連携を推進する「Goal connect株式会社」代表取締役の大下明 氏が登壇しました。
大下氏は、地域のエネルギーをその地域内で効率的に消費する地産地消の未来をいち早く実現したいと語りました。通信技術やAIを活用し、エネルギー(ワット)をつなげる新たなインフラ構築への情熱をアピールしました。

本イベントでは、AIを単なる「便利なツール」として捉える段階が終わり、自律的に動く「AIエージェント」として組織に組み込むフェーズへと移行していることを強く印象付けました。
そして次世代通信とAIが掛け合わさることで、ヘルスケアやエネルギーなどあらゆる産業がアップデートされようとしています。

■「次世代通信技術活用型スタートアップ支援事業(Tokyo NEXT 5G Boosters Project)」とは

東京都では、都内スタートアップ企業が、都心部から郊外・山間部、離島を持つ東京というフィールドを活かしながら、世界で通用する競争力を磨き、5Gをはじめとした次世代通信技術を活用した新たなビジネスやイノベーションを創出し、都民のQOL(Quality of life)向上に寄与する有益なサービスを創出するとともに、各スタートアップ企業の企業価値向上を目指しています。
本事業は、東京都と協働して支援を行う事業者を開発プロモーターとして募集・選定し、スタートアップ企業に対し多角的な支援を行います。開発プロモーターは、3ヶ年度にわたり支援先スタートアップ企業等の開発・事業化を促進するため、連携事業者(通信事業者や実証フィールド提供者、研究機関、VC・金融機関等)と連携しながら、資金的、技術的な支援やマッチング支援等を行います。支援先スタートアップ企業は、開発プロモーター等の支援を受けながら、次世代通信技術等を活用した製品・サービスの開発及び事業上市を目指します。

▼詳細はこちらをご参照ください(本事業Webサイト):

https://next-5g-boosters.metro.tokyo.lg.jp

この記事につけられているタグ

テレポート次世代通信技術活用型スタートアップ支援事業平野友康高野雅晴