CEATEC 2026
「6G×AIが創る未来社会」レポート 前編
2026年10月13日〜16日、幕張メッセで「CEATEC 2026」が開催されました。本稿では、全体の概要を振り返るとともに、プロAV・通信業界注目のXGMF共催コンファレンス「6G×AIが創る未来社会」の全セッションをレポートします。
CEATEC 2026 全体概要: TransformationとフィジカルAIの台頭
本年のCEATECは「Transformation -企業が、産業が、そして社会が変わる-」をテーマに掲げ、エレクトロニクス機器の展示から、社会課題解決と未来社会の青写真を提示する場へと完全な移行を果たしました。
特筆すべきは、日本自動車工業会主催の「Japan Mobility Show Bizweek 2026」との史上初の併催が実現した点です。
これにより、4日間の登録来場者総数は前年を大きく上回る112,373人に達しました。

本年のCEATECは「Transformation -企業が、産業が、そして社会が変わる-」をテーマに掲げ、エレクトロニクス機器の展示から、社会課題解決と未来社会の青写真を提示する場へと完全な移行を果たしました。
特筆すべきは、日本自動車工業会主催の「Japan Mobility Show Bizweek 2026」との史上初の併催が実現した点です。
これにより、4日間の登録来場者総数は前年を大きく上回る112,373人に達しました。


展示全体を貫く技術的トレンドは、サイバー空間を超えて現実世界の物理的挙動を制御する「フィジカルAI」の本格的な社会実装です。
情報通信産業とモビリティ産業が交わり、オープンイノベーションのプラットフォームとしての機能がより強固なものとなっています。
XGMF「6G×AIが創る未来社会」の概要
10月14日・15日の2日間にわたり、総務省・XGMF・一般社団法人電波産業会(ARIB)共催によるコンファレンス「6G×AIが創る未来社会」(全8セッション)が開催されました。
本プログラムは、AI時代の通信成長戦略、AI-Nativeネットワークの実現、NTN(非地上系ネットワーク)によるユビキタス接続、次世代モビリティなど、多様なステークホルダーが一堂に会し、通信とAIが融合する未来像を多角的に展望するものです。
セッション内容
セッション1:「AI時代の情報通信成長戦略」

< 登壇者 >
● 中尾 彰宏 氏(XGモバイル推進フォーラム代表 / 東京大学 大学院工学系研究科教授)
● 荻原 直彦 氏(総務省 総合通信基盤局長)
● 坪谷 寿一 氏(株式会社NTTドコモ 代表取締役副社長 CTO、CAIO)
● 吉村 和幸 氏(KDDI株式会社 執行役員専務 CTO コア技術統括本部長)
● 丹波 廣寅 氏(ソフトバンク株式会社 常務執行役員)
● サッチン・ヴァーマ 氏(楽天モバイル株式会社 Chief AI & Data Officer)
最初のセッションでは、AI時代における日本の通信基盤再構築と産業競争力強化について、政策と事業者の両視点から具体的な方向性が示されました。
東京大学の中尾氏は、6Gの方向性として「通信とAIの融合(AIでのアクセス保証)」「AIによる通信の進化(AI-RAN等)」「センシングと通信の融合」の3点を指摘しました。
続いて総務省の荻原氏は、データトラフィックの急増を支えるためのインフラ整備について言及。特に国際通信の99%を担う海底ケーブルに関して、日本の競争力維持のために「敷設・保守船の調達支援」を国として進めている現状を報告しました。


また、消費電力が膨大なAIデータセンターの地方分散化を進めるにあたり、コンパクトな電力系統と高速通信を効果的に組み合わせる「ワット・ビット連携」の実証を行っている点も大きな注目を集めました。
セッション2:「Why 6G:6Gが描く未来社会と新たな価値」

< 登壇者 >
● 鹿島 毅 氏(エリクソン・ジャパン株式会社 チーフ・テクノロジー・オフィサー / 本セッション モデレーター)
● 五十嵐 大和 氏(総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課長)
● 城田 雅一 氏(クアルコムジャパン合同会社 標準化本部長)
● 大槻 知明 氏(慶應義塾大学 理工学部 情報工学科 教授)
● 伊東 克俊 氏(ソニー株式会社 技術開発研究所 次世代通信技術戦略・欧州研究所担当)
● 中村 元 氏(株式会社KDDI総合研究所 代表取締役会長)
「5Gが普及しつつある今、なぜ6Gが必要なのか?」という根源的な問いに対するセッションとなりました。
総務省の五十嵐氏は、「5G導入時にも『LTEで十分ではないか』という議論があったが、AIの進展を目の当たりにすると、今後桁違いのトラフィックが発生する」とインフラの先行準備の重要性を強調しました。


エリクソン・ジャパンの鹿島氏は、AIデバイスやエージェントがエッジ側で推論を行いデータをクラウドに上げる構造により、「将来的にアップリンク(上り)のトラフィック伸び率がダウンリンクを上回る」という重要な予測を提示。
これに対応するためには、AIが組み込まれた自動化ネットワークの構築や、6G向けに連続した広帯域(200MHz以上)の周波数を確保することが必須であると語られました。
セッション3:「AI-Native 6G:通信とAIの融合で知能化する次世代通信基盤」

< 登壇者 >
● 中尾 彰宏 氏(東京大学 大学院工学系研究科教授 / 本セッション モデレーター)
● 磯部 慎一 氏(株式会社NTTドコモ 6Gネットワークアーキテクチャ標準化担当 担当部長)
● 山本 俊明 氏(株式会社KDDI総合研究所 執行役員 無線部門長)
● 朽津 光広 氏(楽天モバイル株式会社 先端技術開発統括部 ジェネラルマネージャー)
● 野田 真 氏(NVIDIA アメリカ本社 テレコム AI エヴァンジェリスト)
● 船吉 秀人 氏(ソフトバンク株式会社 技術統括 先端無線技術統括部 統括部長)
本セッションでは、ネットワーク自体がAIを取り込み知能化する「AI-Native」アーキテクチャの最前線が議論されました。
NTTドコモの磯部氏は、ネットワーク内に計算資源を配置し、端末側のAI処理をアシストする「インネットワーク・コンピューティング」の実証が進んでいることを報告。
KDDI総合研究所の山本氏は、AIが環境に合わせて通信プロトコル自体を「自己生成・自己成長」させる未来像を提示しました。

また、ソフトバンクの船吉氏からはAI-RANの実装に関する見解が、楽天モバイルの朽津氏からはオープンインターフェースとAIの親和性に関する知見が共有されました。
「莫大なGPU投資を通信事業者がどう回収していくか」というシビアなビジネス課題に対しても、日本の強みである「ネットワークの安定した運用力や信頼性」を武器に、新たなサービス価値を創出していく方向性が確認されています。
セッション4:「NTN:6G時代のユビキタスコネクティビティを拓く」

< 登壇者 >
● 豊嶋 守生 氏(国立研究開発法人情報通信研究機構 NICT ネットワーク研究所 主管研究員 / 本セッション モデレーター)
● 上村 征幸 氏(ソフトバンク株式会社 プロダクトR&D本部 企画統括部 統括部長)
● 岸山 祥久 氏(株式会社 Space Compass 宇宙RAN事業部 通信技術部 担当部長)
● Francis Yeh 氏(財團法人資訊工業策進會 Digital Transformation Research Institute 副主任)
● 岩本 定則 氏(GreenBee株式会社 代表取締役社長 / エグゼクティブアドバイザー)
● 春山 太一 氏(株式会社構造計画研究所 情報工学部)
● 大島 正義 氏(マーリンク株式会社 New Business Sales Manager)
● 城田 真吾 氏(シャープ株式会社 通信事業本部次世代通信事業統轄部ビジネス推進部)
● 杉本 聡 氏(DX通信株式会社 代表取締役社長)
1日目最後のセッションは、空・海・宇宙へと通信カバレッジを拡張する非地上系ネットワーク(NTN)がテーマです。
ソフトバンクの上村氏は、成層圏を飛ぶ基地局「HAPS」の飛行試験において、アメリカからメキシコ、そして日本へと偏西風に乗って30日間の連続飛行を達成した最新の実績を公表。将来的には成層圏にエッジコンピューティング環境を構築する構想も明かしました。


さらに、GreenBee株式会社の岩本氏からは、台湾の通信キャリアと連携したIoTゲートウェイ「ヘスティア」の事例が紹介されました。地上通信が途切れても衛星通信へ自動で切り替わるこのシステムを利用し、台湾と石垣島を結ぶ「スマート海上航路構想」など、国境を越えたNTNの社会実装がすでに動き出していることが示されました。

1日目のセッションだけでも、通信インフラが単なるデータの「土管」から、膨大なAI処理を捌く「知能を持った神経網」へ、そして地球全体を覆う三次元ネットワークへと劇的な進化を遂げていることが伝わってきました。
続く【後編】の記事では、2日目に行われたセッション5 〜 8についてレポートします。
次世代モビリティ、Z世代の成長戦略、そして我々映像・プロAV業界にとっても直結する「推し活×次世代通信」におけるスタジアム・ライブ会場の魅力創造など、よりビジネスやライフスタイルに密着したテーマを深掘りします。