CEATEC 2026
「6G×AIが創る未来社会」レポート 後編
「CEATEC 2026」で開催されたコンファレンス「6G×AIが創る未来社会」2日目(セッション5〜8)の模様をお届けします。
セッション内容
セッション5:「自動運転時代の”次世代のITS通信”と未来モビリティが創発する地域エコシステム」

< 登壇者 >
● 大山 りか 氏(株式会社ONBOARD 代表取締役 / 本セッション モデレーター)
● 志賀 俊之 氏(ダイナミックマッププラットフォーム 社外取締役 / XGMF 地域強靭化型未来モビリティ通信基盤社会実装プロジェクト リーダー)
● 加藤 真平 氏(株式会社ティアフォー 代表取締役社長 CEO)
● 松田 慧 氏(KDDI スマートモビリティ 代表取締役社長)
● 田中 隆浩 氏(総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 新世代移動通信システム推進室 室長)
少子高齢化や交通インフラの維持という地域課題に対し、V2X(Vehicle-to-Everything)通信をはじめとする次世代ITS通信をどのように社会実装していくかが議論されました。
ダイナミックマッププラットフォームの志賀氏は、地方における自動運転テストの多くが補助金終了後にコスト面(運行・メンテナンス)で頓挫している現状を指摘し、この課題を通信インフラとの協調でいかに解決するかが鍵になると強調します。
ティアフォーの加藤氏は、自動運転を社会インフラとして成立させるためには「通信やITS関係者が同じ目線に立ち、収束に向けた集中的な投資を行うこと」が不可欠であると提言。実証実験のフェーズから、経済合理性を伴う「実装」へと移行するための産官学の具体的なロードマップが共有されました。

セッション6:「通信業界と総務省のZ世代が語る情報通信の成長戦略 ~デジタルネイティブが見据える6G時代の社会像~」

< 登壇者 >
● 今井 拓也 氏(総務省 総合通信基盤局 電波部 移動通信課 新世代移動通信システム推進室 係長 / 本セッション モデレーター)
● 立石 翼 氏(NTT東日本株式会社 マーケティング統括本部 ビジネス開発本部無線&IoTビジネス部 先端無線/CPSビジネス担当)
● 清川 優里奈 氏(1FINITY株式会社 ネットワークカスタマーサクセス本部 アカウントセールス統括部 クライアントエグゼクティブ室)
● 藤井 祐衣 氏(楽天モバイル株式会社先端技術開発統括部イノベーションプログラム開発事業部 先端NW技術推進課 プロジェクトマネージャー)
● 中嶋 洸平 氏(Sharing Design株式会社(住友商事より出向中) 経営企画部))
● 川﨑 祥子 氏(総務省 国際戦略局 技術政策課 課長補佐)
総務省および民間企業のZ世代の担当者が集結し、2030年の社会像をベースに6G時代を見据えた成長戦略を議論する斬新なパネルディスカッションです。

総務省の今井氏の進行のもと、シェアリングデザインの中嶋 氏は「通信は繋がるから意識しない」という「次の当たり前」について言及し、インフラシェアリングを通じた効率的な基地局整備の必要性を訴えました。
同じく総務省の川﨑氏は、国としての情報通信成長戦略(APN、次世代ワイヤレス等)の支援枠組みについて解説し、技術の高度化だけでなく「いかにビジネス化するか」という視点の重要性を強調しました。
ベンダーの立場から登壇した1FINITYの清川氏も交え、デジタルネイティブ世代が主導する、国と民間が連携した新たな産業創出のシナリオが熱く語られました。
セッション7:「推し活×次世代通信 ~ファン&舞台裏から見たスタジアム・ライブ会場の課題と魅力創造~」

< 登壇者 >
● 多田 夏帆 氏(株式会社Oshicoco代表取締役社長 推し活総研 所長)
● ゆん 氏(グラフィックデザイナー)
● 大津 康治 氏(ソニーワイヤレスコミュニケーションズ株式会社代表取締役社長)
● 吉井 大二郎 氏(株式会社村田製作所 ネットワーク技術開発部 プリンシパルエンジニア XGMF 推し活×5G(ミリ波・ローカル5G)プロジェクトリーダー / 本セッション モデレーター)
村田製作所の吉井氏は、大阪のスタジアムにおけるユーザー体感調査のデータを提示。「電波は十分で速度(スループット)も出ているのに、X(旧Twitter)への動画投稿がタイムアウトして完了しない」という、従来の通信指標では測れないユーザーエクスペリエンス(UX)のギャップを鋭く指摘。「繋がるだけでなく、やりたいことが『終わる』ところまで見届ける」という次世代の通信要件が語られました。

さらに、セッション中にはグラフィックデザイナーのゆん氏が、難解な通信技術の議論をリアルタイムで「グラフィックレコーディング(視覚化)」する試みも行われ、ファン視点と技術基盤の融合を体現する場となりました。

セッション8:「6G時代におけるスタートアップの役割と共創のあり方」

< 登壇者 >
● 原田 博司 氏(XGモバイル推進フォーラム副代表 / 京都大学教授)
● 西岡 誠治 氏(XGモバイル推進フォーラム事務局長 / 一般社団法人電波産業会 理事 / 本セッション モデレーター)
● 瀬田 尚子 氏(総務省 国際戦略局 技術政策課 スタートアップ支援室 室長)
● 笹原 優子 氏(株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役社長(CEO&CCO))
● 廣瀬 健人 氏(FYRA株式会社 代表取締役社長 兼CEO)
2日間のコンファレンスを締めくくる本セッションでは、通信技術とAIを融合させた新サービスの社会実装において不可欠となる、スタートアップとのオープンイノベーションについて深く議論されました。6G時代においては、大企業の資本力や既存のプラットフォームだけでなく、独創的な技術と機動力を持つスタートアップの存在が、新たなビジネスエコシステムを構築するための鍵となります。
セッションでは、総務省の瀬田氏が政策・スタートアップ支援の立場から国の枠組みを解説し、NTTドコモ・ベンチャーズの笹原氏は大企業(CVC)からの投資および事業連携の視点で、共創をスケールさせるための具体策を提示しました。
また、FYRAの廣瀬氏からはスタートアップ当事者としてのリアルな課題感や期待が語られ、政策・投資・現場の三位一体での成長戦略が浮き彫りになりました。



さらに、京都大学の原田氏やXGMF事務局長の西岡氏をリモートで交え、通信事業者をはじめとする既存企業との連携をいかに促進し、その共創プロセスにおいてXGMFがどのようなハブ機能を提供すべきかについて多角的な展望が示されています。
単なる技術論を超え、新産業を創出するための「プレイヤー同士の結びつき」に焦点を当てた、締めくくりにふさわしいセッションとなりました。

前編・後編にわたりお届けしたCEATEC 2026「6G×AIが創る未来社会」レポート。
全8セッションを通じて見えてきたのは、日本の通信インフラ開発が、技術の「実証」から社会への「実装」へと着実に進みつつある姿です。そして、その価値を測る視点も、通信性能などの技術的なスペックにとどまらず、「ユーザーにどのような体験価値(UX)をもたらすか」へと広がっています。
通信ネットワーク自体がAIによって高度化し、NTNによって空や海へと接続領域が広がる。次世代ITS通信が自動運転や地域モビリティを支え、スタジアムやライブ会場では、ファン同士が感動を共有する体験をより豊かなものにする。そして、スタートアップとの共創が、こうした新たな価値の創出と社会実装をさらに加速させていくでしょう。